「スナックワールド」の音楽について、個人的に、差しさわりない程度に書いてみよう。

1704281


日本のTVアニメやドラマの音楽は、最初に数十曲録り溜めた曲の中から選曲し
編集して映像に合わせる方法が一般的なのですが、
「スナックワールド」では映像に合わせて作曲する
”フィルムスコアリング”の手法で制作しています。
前例の無い作品には、音楽もできる限りの挑戦を。

シーンごとに作曲しているので、同じ曲を使っているように聞こえても、
実は流れるシーンによってアレンジや演奏、楽器、フレーズが変わっていたり
別の展開に繋がったり、と全部違うわけです。

この方法の利点は、キャラクターのテーマフレーズやモチーフなど、
作曲家が意図する様々な音楽的要素を純度100%で映像にリンク、シンクロさせられる
ということに尽きます。
編集によって作曲家が意図しなかった音楽構成になってしまう、ということがないので
会話やカット、効果音のタイミング、映像の動きに合わせて細かな音楽演出ができると同時に
楽曲一つ一つの”意味合い”をブレずに保てる、という点で
作曲家として大変幸せな作品であることは間違いありません。

ちなみに溜め録り、選曲方式ならではの良さ、面白さというのももちろんあって
良い意味で想像もできなかった音と絵の相乗効果や、
音響監督やプロデューサーの視点で新しい解釈が生まれる瞬間、これもまた魅力です。
そして何より経済的かつ効率的です(笑)

というわけで、まだ始まったばかりのハイテンポ、ハイテンションなこのアニメですが、
録画などされた方はぜひ音にも注目(注耳?)してみてくださいね。